case.2|ことあるごとに主治医の診断書を提出し、業務を拒否

よくある事例をご紹介します。従来型の手法と「復職名人」との比較にお役立てください。

事例の経緯

療養開始前の状況

Bさん
体調不良で度々遅刻や欠勤を繰り返していました。ある日『適応障害。営業の業務から事務の業務への変更が必要』という診断書を提出して異動を希望してきました。
人事・上司
上司は慌てて人事に相談をしました(人事は相談を受けて初めてBさんの勤怠の乱れなどの状況を知りました)。「主治医の先生がおっしゃるのだから」ということで、営業部門から経理部門へと異動させました。
Bさん
異動した最初の週は遅刻や欠勤なく業務を行えていましたが、担当業務が増えるにつれて徐々に勤怠の乱れが増え、異動後2ヶ月を過ぎる頃には営業部門に在籍していた頃と同程度の勤怠状況になってしまいました。そして異動後3ヶ月経つ前に、『数ヶ月の療養が必要』という診断書を提出し、休職に入ってしまいました。

療養そして復職へ

Bさん
約半年の療養を継続し、いよいよ復職を迎えることになりました。
主治医
『復職可。ただし、期日に追われるような業務は避けることが必要である』という診断書を発行しました。
人事・上司
「経理業務は期日に追われる業務が多いので、これでは他の社員のフォロー業務しか命じられない」と考えましたが、そのまま受け入れて復職を認めました。

復帰後

Bさん
業務に余裕があるためか、従来のような勤怠の乱れは見られないですが、実質他の社員の5割以下の業務量しか行えておりません。
人事・上司
新しい業務を命じようとすると、事あるごとに『○○といった業務は避けることが望ましい』という主治医の診断書を提出されます。業務を拒否され続けているため、部署として仕事をさせることができず非常に困っています。

復職名人による対応は?

私傷病・休職と異動を結びつけず、業務的健康管理として、異動は異動、私傷病は私傷病と分けて考えます。例えば、最初の診断書が出てきた時点で、「要するに、営業の業務では健康上の問題があるということ」と考え、主治医に「営業の業務をさせることについて、健康上の問題を増悪する可能性がありますか。(あれば療養をさせますが、異動は行えません)」という点を確認します。

Bさん個人の治療という面では、現状のような軽減勤務が望ましいのかもしれませんが、全体最適の観点から見て、このような状況は看過できません。

主治医への聞き方