ビジネス・レーバー・トレンド2021年12月号(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)にて、高尾先生・前園先生・森の三者で取材を受けた記事が掲載されました。
2021年12月27日以降、無料で閲覧可能ですので、ぜひお読みいただければと思います。
記事の概要
取り上げた事例
コロナ禍において架空の会社で起きている、5つの事例について議論しました。
A|実家での療養後安定したことから、実家からテレワークで勤務したいと復職を希望した。上司がこれを認めたものの、職位相当6~7割程度の業務しかできていない状況。テレワークをやめて出社するよう求めるも、コロナの感染が怖いから、東京に戻りたくないと主張している。
B|交通事故で療養中。Aの復職を知り、自身も「テレワークなら復職できる」と希望している。
C|メンタルヘルス不調で療養中。Bと同じく、自身も「テレワークなら復職できる」と希望している。
D|テレワークで就業中ながら、オンライン会議にはカメラをオフにした状態でしか参加せず、声も弱々しいため、上司が心配している。
E|テレワークで就業中ながら、面と向かって丁寧に説明しないと理解度が低く、それをフォローする上司が困っている。
基本的な考え方
どの事例もコロナ禍により、在宅勤務がなし崩し的に広まったことに起因している問題であると考えています。
この事例はAさんに対して適切に対応できるかにかかっています。Aさんへの対応がうまくできないと、DさんやEさんだけでなく、BさんやCさんへの対応も収集がつかなくなりかねません。
また、テレワークが関係なければ、BさんやCさんへの対応は通常の手順で済む話ですから、テレワークをどう考えるかがキーポイントです。
テレワークへの対応
この事例におけるテレワークへの対応には、2つポイントがあります。
テレワークも通常出社もできないといけない
一つ目は通常の従業員には、テレワークも通常出社もどちらもできることが求められるという点です。
通常の従業員(この事例の全員に当てはまる)は、完全テレワークという労働条件で契約しているわけではありません。そのため、会社が命じた勤務地で業務しないといけないことと同じ状況です。いつ出社して仕事をしないといけなくなるか分からないわけですから、テレワークだけなら仕事をできるというのは、完全な労務提供とは言えません。
行政からのテレワーク要請は対集団への対策
確かに行政から、テレワークによる人流抑制への協力が呼びかけられています。ただこれは、集団としての感染リスクを抑えることを目的としたものであって、個々人の感染リスクを考慮したものではありません。平たく言えば、「感染したくないでしょう?だったらテレワークしてください」という呼びかけではないのです。
そのため、感染リスクが怖いから、テレワークをしたいという希望は、少々的外れ感があります。
なお、担当者の意向もあって、こうしたテーマのみならず、実際に人事担当者に高尾メソッドを広めていくには、という観点についても、話題を広げていますので、ぜひ元の記事もご一読いただければと思います。