近年、従業員のメンタルヘルス不調は多くの企業や自治体にとって深刻な課題となっています。特に、休職からの復職支援においては、「配慮のつもりが、かえって事態を悪化させる」といった、従来の「優しい」対応の限界が指摘されています。
このような背景から、弊社では「業務遂行レベルに基づくメンタルヘルス対応」復職名人のサービスを展開しています。
実際の事例対応支援を通じて、サービスの効果を実感していただくためのパイロット事業を、これまでも定期的に参加募集をして開催しておりましたが、この度このパイロット事業を常時受付することといたしました。
パイロット事業について
パイロット事業の概要
本パイロット事業は、業務遂行レベルに基づくメンタルヘルス対応、特に復職プログラムの運用を試行し、本格導入について検討いただくことを目的としています。
- 内容
実際に生じている事例に対し、業務遂行レベルに基づくメンタルヘルス対応の適用支援(運用支援)を実施します。これは、導入に向けた支援というよりも、現在抱えている困難事例に対し、このメソッドの考え方に基づいて軌道修正を行い、通常勤務ができる状態で復帰してもらうための運用部分を支援するものです。 - 期間
パイロット事業開始からの約半年間程度を予定します。 - 参加費
無償でご参加いただけます。
パイロット事業の取り組み内容
1.メンタルヘルス対応の運用支援
- 休職者との書類のやり取りに関するアドバイスや、面接実施時に用いるシナリオの添削・作成支援を行います。
- まず、事例共有シートを用いて、対応する事例の概要を共有いただきます。
- 共有された情報に基づき、全体的な対応方針を助言します。
- 助言や添削指導は、メール等を通じて行われ、クライアント側には、実際の休職者との書類のやり取りや面接の実施、書類や面接シナリオの案の作成が求められます。これは、担当者自身が関与することで、より効果的な対応と実践につながるためです。
- 週に一度の療養報告書とその受領書といった定例的なやり取りの添削支援も含まれます。
2.先行自治体の事例検討会へのオブザーバー参加
- オンラインで開催される事例検討会にオブザーバーとして参加できます。
- 他の自治体で生じている事例や、それに対する対応方法に関する助言を聞くことができ、情報収集として非常に役立ちます。類似事例への対応に際して、大いに参考になるでしょう。
3.復職名人オンラインスクールのお試し利用
- パイロット事業期間中、オンラインスクールのアカウントが提供されます。
- 期間中のオンライン研修への参加、過去の研修動画、各種書式、過去の対応事例や質問をストックしたデータベースなどが利用可能となり、体系的な学習と情報収集に活用できます。
これまで、パイロット事業で取り扱った事例の紹介
「異動が必要」という診断書が出たケース
新卒入庁4年目の職員Bさんが、部署異動後に「療養が必要で、復職時には異動が必要」という診断書を提出。本人は年明け復職と次年度の別部署への異動を希望し、主治医もこれを支持。
従来の誤った対応では、主治医の意見や本人の希望に沿って異動を実施しがちですが、これは短期的なストレス軽減に見えても、長期的に人事の制約増加、再発、他の職員からの同様の要求といった「大きな問題」につながります。それにより、すでに対応に困っている方も多くいらっしゃることでしょう。
正しい対応としては、療養開始時に復帰基準をはっきり示し、復帰時には例外なく原職復帰とすることです。
人事課長は、正規職員としてどの部署でも求められる業務を遂行する必要があることを説明し、「異動しないと病気が悪くなる」「元の職場では復帰できない」といった意見は正規職員としての業務遂行が困難と受け止めざるを得ず、受け入れられないことを明確に伝えました。
結果的に、Bさんは原職復帰の原則に沿って準備を進め、一度は復帰できなかったものの、翌年度には原職でしっかり働ける状態に戻りました。
時期尚早な復帰希望が出ているケース
休職と復職を繰り返す職員が、生活リズムが整わない状況で復職を希望。本人の希望は尊重しつつも、復帰基準を明確に伝え、ニュートラルに復帰準備を進めてもらいました。
結果的に病状の再増悪もあり復帰はできませんでしたが、本人と家族が納得する形で決着することができました。これは、無理に復帰させようとするのではなく、基準を満たせない場合はそれも受け入れるという姿勢が、最終的な納得につながることを示しています。
休職していないが勤怠が乱れている職員のケース
病気休暇や休職を繰り返す職員で、朝の体調不良による遅刻や、高用車での頻繁な外出など、勤怠が乱れ業務を任せられない状況。
面接で「通常勤務ができていない」ことをフィードバックし、通常勤務を続けるか、療養に専念するかの二択を提示しました。当初は通常勤務を希望したものの、状況が改善せず、最終的に療養導入に至りました。療養導入後は、復帰基準を説明し、一から復職支援を進めることになります。
障害者に対する合理的配慮のケース
障害を理由にPCを使用する事務作業の全面免除を要求した職員。これに対し、合理的配慮の本質は「障害を理由とした能力発揮の妨げとなる社会的障壁の除去」であり、業務免除ありきの話ではないと説明しました。その結果、免除の要求は撤回され、職員は現在事務作業を行っています。
パイロット事業への参加条件と次のステップ
本パイロット事業には、以下の条件を満たす自治体や企業にご参加いただけます。
- 業務遂行レベルに基づくメンタルヘルス対応の考え方に賛同していること。
- 対応において、人事課・職員課の関与が得られること(特に面接等の場面)。
- 弊社からの助言や作成したシナリオに基づき、実際に対応を実施いただけること(勉強だけを目的とした参加は不可)。
- あくまで、本格的な導入を検討するために、パイロット事業へ参加いただけること(無償だからとりあえず参加、という目的は不可)。
興味をお持ちいただけた場合は、まずは下記よりオンライン個別相談会にご参加ください。
この相談会では、関係者の説得にあたって生じる疑問への回答や、困難な事例への具体的な助言を受けることができます。
復職名人の導入効果
従来のメンタルヘルス対応が抱える問題点
従来のメンタルヘルス対応、特に復職支援においては、以下のような問題が頻繁に発生しています。
- 高い再休職率
一度休職した従業員が再び休職に至るケースが少なくありません。これは、対応全体として見た場合、社員が「働ける」状態に戻る割合が低いことを意味し、企業にとって人材の損失となります。 - 上司への過度な負担
メンタルヘルス不調者への「配慮」は、その上司に過大な手間をかけさせることが多く、上司の負担増大につながります。 - 同僚の不満と士気低下
継続的な配慮や業務のしわ寄せは、周囲の同僚に不満を生じさせ、組織全体のモラルの低下を招くことがあります。 - 難渋事例の発生
問題が長期化・複雑化し、解決が困難な「難渋事例」へと発展しやすい傾向があります。 - リスクマネジメントの脆弱性
従来の対応は、組織にとってリスク管理の観点から「超」脆弱であると評価されています。病気や個人の希望に寄り添いすぎることで、かえって事態が悪化し、「大きなトラブル」につながる可能性が高いとされています。
このような問題は、多くの場合、個人の病状や希望に焦点を当てた「医学的」健康管理の考え方に起因しています。
復職名人がもたらす効果
復職名人を導入することで、以下のような効果が期待されます。
- メンタル不調者の再発率減少・長期療養者数の減少: 一般的な再発率データと比較して、導入企業では再発率が大幅に減少する実績が示されています。休職者数そのものが半減し、再療養に至るケースも1/10に、難渋事例もほぼゼロになると報告されています。
- 優秀な人材の流出阻止: メンタル不調者への対応負担が周囲の優秀な人材にかかり、離職につながるケースや、優秀な人材がメンタル不調となり復職できないケースを予防します。
- 担当者の負担軽減、一貫した対応の実現: マニュアル整備などにより、担当者の負担が軽減され、担当者が変わっても一貫性のある対応が可能となります。
実際に、このメソッドを導入した自治体では、再療養者の割合が激減し、全体のケース数も減少傾向にあることがデータで示されています。
(復職名人の詳細については、こちらの動画もご覧くださいませ)
