「復職名人」が用いる手法の考え方や対応方法についてご紹介します。
【大原則】と【三原則】
復職名人の要である「大原則と三原則」を解説します。
【 大原則 】職場は働く場所である
職場とは全ての方が通常通りに働くことが大前提で、決して治療の場ではありません。あまりにも当然のことですが改めて考え直してみると、発生している難渋事例の多くは、この原則から外れているのではないでしょうか。
【 三原則 】
第一原則|通常勤務に支障があるかどうかで判断する
ついつい、病名や病状に目がいってしまいがちですが、病気に関することを人事担当者が判断することは難しいでしょう。そのため、通常勤務に支障があるかどうかをとらえます。通常勤務に支障があるかどうかは、以下の3つの観点から判断します。
- 業務面|質・量的な面について上司が判断
- 勤怠面|就業規則に基づき人事が判断
- 健康面|健康上の問題について医師が判断
3は少し分かりにくいですが、本来求められる業務を行ってもらう場合に、健康上の問題が増悪する可能性があるかないかを医師に問う(=ドクターストップするかどうか)ということです。
このようにそれぞれの立場から適切な判断を行うことが大切です。例えば、「上司が部下の顔色から病状を判断する」といったことは必要ありません。
第二原則|通常勤務に支障があるのであれば療養するしかない
私傷病は通常勤務できないことの理由にはなりません。例えば「私は右腕を怪我しているので、遅刻を認めてください」という主張が認められるでしょうか。むしろ、たび重なる勤怠の乱れは懲戒処分の対象にすら該当する可能性があります。一方で、私傷病により通常勤務できないということであれば、当然私傷病欠勤や私傷病休職の事由としては認められるでしょう。
第三原則|就業配慮は極めて限定的に行う
就業継続を前提とした配慮は運用が非常に難しいです。また、安全配慮義務上大きな問題を抱えることにもつながります。もし実施するのであれば、期限を区切り、一度限り行うべきで、さらに回復しないのであれば療養に入るという条件のもとで行いますが、厳密に考えるべきです。