今回は、上司からの注意指導を受けた後、無断欠勤、休職に入ってしまった事例をご紹介します。
連絡がつかないまま、休み始めてしまい、そのまま放置しているケースが結構あるのではないでしょうか。
まずはこの事例同様、週一報告(様式:療養・復帰準備状況報告書)から軌道修正を図っていただきたいと思います。
初回相談時の状況
業務中に自らのミスに起因して発生したクレーム対応について、上司から注意指導を受けた。ところがこれを、本人は「叱責された」と捉え、翌日から無断欠勤をはじめ、そのまま、うやむやのままに、病気欠勤、病気休職となった。
現在、休職中で満了日は約3ヶ月先に迫っている。
就業規則(及び慣習的取り扱い)では、有給消化、病気欠勤30日、その後に休職期間が9か月。
会社からのコンタクトに本人が応じない状況であり(電話に出ない、特に当該上司からの連絡は着信拒否までする。自宅を訪問しても家族が対応し、本人は出てこない)、退職するのか復帰するのか、本人の以降は把握できていない。満了日についての書面は家族(妻)に渡したが、読んだかどうかは不明である。
休職期間中も時々会社に出てきたりしており、先日は本人が私物を引取りに来た。退職の方向で考えているのではないか。
対応方法のコメント
1.初期対応に対する教訓
無断欠勤への対応
無断欠勤であれば、間をおかず、「就業規則」に即して、適切に対応すべきでした。
なお無断欠勤は、「決してあってはならない」ことで、様子見をしたり、対応を上司任せにせず、人事も対応すると良かったでしょう。
すぐに本人と連絡がつかない場合には、家族等にも連絡をして皆を巻き込み、「二度としてはいけないことだと」明確に理解させましょう。
家族に対するアプローチ
この事例のように、本人がコンタクトを避けたりして、ダラダラになる場合もあります。
こうしたケースでキーになるのは家族です。家族に対して、

就業規則上の適切な手続き(病気欠勤等)を行わないと「無断(無届)欠勤として取り扱わざるをえないことになってしまい、会社としては、規則に従った対応をせざるをえなくなります。病気欠勤の規則通り手続きがなされれば、病気欠勤として取り扱うのですが、、、
と伝えましょう。
規則通り、療養を要する旨の診断書が提出されれば、その後は通常の復帰手順に沿って事務的に対応すれば良いです。
休職期間満了が迫っている事例について
休職期間満了が近くなってきた事例については、満了ギリギリになる前の余裕がある段階で、復職の手順や手続きの説明に加えて、「このまま、○月まで療養専念期が続くと復帰は難しくなる」と先の見通しについてもあらかじめ伝えておくと良いでしょう。
受け手の立場で考えれば、満了ギリギリになって「このままだと復帰が難しい」と、やや手遅れ気味に言われては、受け止めにくいものですが、余裕がある段階で、ある種の情報提供として伝えられれば、適切に受け止めることができるはずです。
また、面接を繰り返す中で、一貫して同じ説明を行なっていきましょう。その実現のためには、面接シナリオが不可欠です。
週一報告の提出を求める
軌道修正のポイントとしては、「療養・復帰準備状況の報告書」を週1回提出させ、「いつ復帰するか」を本人に示させましょう。復帰時期の見込みをふまえて計画的に手順を進めていけます。
また、週1度の報告を本人に提出させることで、会社の負担なく、コンタクトラインを維持できます。


2.ネクストステップ
対応方針
いま、やるべきことは、休職期間満了に伴う自然退職や自己都合退職という、選択肢について期待することではありません。
そのような期待をしていると、満了直前になって「復職可」の診断書を提出してきて、慌てて対応することになってしまいます。
具体的に、今すべきことは、
①本人の受診時に、同行し、主治医に復帰基準を説明すること。
②家族(妻など)に、現在の客観的状況を、適切に認識してもらうため、関与してもらうこと
の2点です。
主治医への対応のポイント
受診に同行した際に、その場で主治医の意見を聞くのではなく、まずは会社の復帰基準を明確に通知することが重要です。
逆に、もし主治医から「軽減勤務」や「リハビリ出社」を求めてられることがあっても、その場で慌てて回答してはいけません。
そもそも対応の中で、軽減勤務やリハビリ出社はお薦めしておりません。とはいえ、同行受診の場で「できません!」ときっぱり断るのは、波風が立ってしまいますので、「会社に戻って検討します」とだけ伝え、後日書面で対応できない旨を通知しましょう。
家族への対応のポイント
家族へ伝えるメッセージは上述のとおりです。これを実現するためには、家族同席の面接を実施することです。
その場で復帰基準や復帰の手順について伝えるとともに、手続きを適切に行うことを求めていきましょう。

