理論・解説

復帰支援期の配慮期間について

質問

休職期間中に高尾メソッドに基づく一連の対応(週一報告や復帰準備完了確認シート、予備面接、主治医意見書等)を適切に行っていれば、復職日から1~2ヶ月後に配慮を終了させるという理解で良いでしょうか。

言い換えますと休職期間が半年であっても数年であっても、配慮期間の1~2ヶ月は変更しなくても良いのでしょうか。

長期の休職期間になると、浦島太郎状態となり、配慮期間も3ヶ月以上必要なのではないかと思いました。

回答

復職名人における復帰支援期の配慮

復職名人では、時間外労働の免除と、通院への配慮のみを、復帰支援期の配慮としていて、おおむね1~2か月で終了します。

具体的には、時間外労働の配慮は、復帰後1ヶ月間は、時間外労働はなし、2ヶ月目からは産業医学的配慮は解除されますが、労務管理上の観点から段階的に時間外労働を増やし、3ヶ月目からは時間外労働も通常の社員と同じように命じるとしています。

また通院への配慮は、当初1ヶ月間は、通院時に業務の申し送りはしなくても構わないとしています。これはどういうことかというと、通常であれば通院のために有給休暇を取得する際、同僚や上司に業務の申し送りや引継ぎを行い、不在時に問題が発生しないような対応が求められます。しかしながら引継ぎに躊躇して通院できないという事態は避けたいので、業務の申し送りはしなくても上司が代わりに行う、という配慮を行います。ただしこちらは2ヶ月目からは適切な申し送りをするようにしています。

質問への回答

休職期間の長短に関わらず、復帰基準は通常勤務が出来ること、としています。

そのため、休職期間が長い場合、体調が整ってきてから、復帰基準を満たすための、復帰準備期が長くなることはあります。
 一方で、基準を満たしていることを確認してから復職しているのだから、復帰後の配慮期間は一定で構いません。

つまり、浦島太郎状態は、復帰準備期における対応の中で、自ら解消してもらってから復帰させるということになります。

ただ、そうは言っても仕事から離れる期間が長くなるほど、復職の成功割合は間違いなく低くなるでしょう。

十分な療養期間は必要ですが、少しでも療養期間を短く出来るよう、「通常勤務に支障があるのであれば、早めに療養させる」「療養の初期から復帰基準を伝え、関与する」といったことが結局重要になってきます。

途中導入事例の場合

以上は、あくまで療養当初から復帰基準等を説明できた場合ですが、途中からメソッドを適用した場合、その復帰に限って、若干は臨機応変な対応も可能です(ただし、6ヶ月以上は推奨できず、オススメは+1ヶ月程度)。

その場合は、会社から先に長い配慮期間を示すのではなく、本人が「1~2ヶ月の配慮期間では短い」と言った場合に、「ではどのくらいの期間で通常勤務に移行できるのですか?」と尋ねて、本人の考えを引き出しましょう。

「もう1か月くらい」と言ってきたら、受け入れても良いですし、「最低でも半年くらいは」と言ってくるようであれば、「それでは、現時点で復帰基準を満たしているかどうかについても、懸念を持たざるを得ませんし、そんなに長くは、周囲の負担を前提にできません」と答えて、受け入れないようにします。

このやり取りを通して、結果的に落としどころを、「通常よりもちょっとだけ長く」にすればよいでしょう。

配慮期間は各社で調整しても構わない

なお、本日紹介しました配慮期間ですが、会社の状況や、労使の話し合いの中で、多少調整いただいても構わないと考えています。

ただし調整は、あくまで最初に「基準」を検討するときのみです。一度基準を定めた後、運用面で個々に適用する際には、基準通りとしましょう。

つまり、この社員は何ヶ月、あの社員は何ヶ月と変動させるような仕組みにはすべきではありません。不具合があればそれを教訓としつつ、基準の変更を検討しましょう(なお、私たちもこれまで様々な配慮を試してきたのですが、結果的に現在ご紹介している配慮内容に落ち着いてきたというのが、実情です)。

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