よくある事例 事例紹介

復職したものの通常勤務ができない

よくある事例をご紹介します。従来型の手法と「復職名人」との比較にお役立てください。

事例の経緯

療養中の対応

Cさん
中途入社した後、すぐにうつ病になって休職してしまいました。会社には保健師が常駐していて、フォローは産業保健部門が担当してくれています。
保健師
月一回診断書の提出の際に面談を行っていましたが、なかなか復職できる兆しがありません。人事に対して「Cさんの休職は長引きそうだ」という報告を上げました。

 

療養開始から1年後

Cさん
療養が1年経ったある日、いつもと変わらない様子で診断書が提出されました。その診断書には『復職可能』と記載されていました。
人事・上司
詳しい話を聞くと「生活リズムが整い、日常生活にも支障がなくなってきた」「傷病手当金の受給期限も迫っており経済的な問題も出てきているので、そろそろ復職したい」とのことでした。

 

復帰後

人事・上司
復職面談時の様子では、素人目に見てもCさんは到底復職できそうになかったのですが、『復職可能』という診断書が出ているので、復職を発令しました。
Cさん
「体調が万全でないのでこの仕事はできない」「焦ると病気が悪くなるので、マイペースに仕事したい」と、復職後もやはり順調には業務を遂行できません。
人事・上司
上司の指示に従わず、仕事をしてくれない。さらに突発的に「腰が痛い」といって欠勤することがあり、困り果てています。次第にCさんに仕事を割り振ることはなくなり、代わりに同僚の業務量が増えてしまいました。

 

復職名人による対応は?

今後への教訓

日常生活に支障がなくなってきたというタイミングでの復職は、時期尚早と言わざるを得ません。元職位・元職場・元職種への復職を大前提とし、通常勤務できるようになるまで、復帰準備を進めさせます。

また職場は働く場所です。福祉の場ではありません。厳しい言い方になりますが、「経済的に苦しいから、仕事がほとんどできていない状態でも、職場復帰や就業継続を認める」という対応は、職場で行うべきではないのです。

なお、こうした対応を産業保健スタッフに丸投げせず、人事主導で行います。

【本人と職場の一般的な認識の相違】

この事例への対応

この事例を、今の状態から劇的に改善することは困難です。そのため、再度療養に専念させて、通常勤務ができる状態まで療養・復帰準備に取り組むことを求めます。

具体的な流れは、①状況を直ちに改善させて通常勤務をするか、②それとも病気が理由にそれが難しいので療養に専念するか、この2択で本人に選択してもらいます。
 ①を選ぶ場合には、通常勤務ができることが前提となるので、職位相当の業務を適切に命じ、また勤怠の乱れについても指導します。

これで通常勤務ができれば良いのですが、なかなかそうはいかないので、もう一度上記の選択を迫り、「前回通常勤務ができると言っていたのに、結果としてできなかった」ことから、②を選択することをより強く推奨します。
 この流れを繰り返し、徐々に家族等も交えながら対応を進めていけば、程なく再療養に至るはずです。

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