理論・解説

事例対応の基本

よくある事例の紹介

人事・上司
元々は真面目な社員だったのですが・・・。 仕事の負荷が高かった時に、精神的不調になってしまいました。
 診断書通り1ヶ月療養させ、復職後は診断書の記載内容に従って、業務負荷を大幅に軽減しました。しかし、●年経っても、元通りには戻らず、勤怠も悪いので、職位相当の仕事はとても任せられません。
 さらに、残業拒否や特定の業務や特定の社員との関わりを、「ストレスになるから」と言って避けることもしばしばです。上司からの指導には反抗的態度を取る、あるいは、「病気が悪化するから、配慮しろ」と居直ることさえあります。
 これまで本人の希望する、ストレスの低い部署に数回異動させましたが、状況は改善されず、もうこれ以上異動先もありません。こんな状況ですが、どうにかならないでしょうか。

上記事例は、様々な事例を組み合わせているので、みなさんがお悩みの事例にも一部分は重なる点があるのではないでしょうか。

二つの観点から対応を考える

この事例に対して、復職名人ではどのように対応するか。まず大きく分けて2つの対応を考えます。

  1. 目の前のこの事例に対してどのように対応するか
  2. 今後似たような事例が起きないようにどのように対応するか(この事例を教訓にする)

三原則に沿って考えると・・・

1.については、とにかく早く休ませる(療養に専念させる)ことに尽きます。

なぜなら、第一原則「通常勤務に支障があるかどうかで判断する」で考えると、通常勤務に支障が生じているといって間違いありません。

続いて、第二原則「通常勤務に支障があるのであれば療養するしかない」にある通り、通常勤務に支障がある以上、最終的には療養させるしか解決方法はないのです。

療養に向けた具体的な手順

  1. この社員が起こしている様々な問題行動、例えば、残業拒否や上司に対する反抗的な態度などを、人事が上司と連携して、適切に指摘・指導をする。
  2. 家族を交えた面接の場を設けて改善を求める。
    改善しなければ就業規則にもとづいた対応するほかないことを、理解してもらう。
  3. 「背景に私傷病がある問題行動」だというのであれば、療養に専念するかどうか、本人や家族に考えてもらう。

というステップで対応します。

特に重要なのは、1の指摘・指導のステップです。
 というのも、問題事例の多くは、「仕事を命じると問題が発生するから・・・」と言って、仕事をさせていないケースがほとんどです。
 しかし、仕事をさせなければ、問題行動も明らかになりません。明らかになっていない問題行動をもって、本人や家族に改善を求めることはできませんので、このステップが重要となります。

先を想定して布石を打つ

目の前の事例への対応において、いきなり軌道修正を図ることは難しいケースが多いです。

どうしても、「こうしたら良い」という答えが見えていると、そちらに進みたくなってしまいますが、これまでの対応と180度近く対応方法が変わることもありますので、軋轢を生じかねません。

そこで重要なのは、あらかじめ先の事態を想定しておいて、布石を打っておく、という対応です。
 例えば先ほどの事例であれば、療養導入を頑なに拒むケースは少なくないでしょう。そうした際に、無理やり休ませるのではなく、通常勤務を前提とした、就業継続を認める(これが布石です)。その後通常勤務できていない点を指摘する、という二段構成で考えます。

この事例を教訓にする

続いて、2.について、今後似たような事例を発生させないために、次のような点に注意して対応し、制度や規程の変更も検討します。

  • 復職時の軽減勤務や異動(特に本人希望の)はしない
  • 手順と様式に従い、療養を始めた時点から一貫した説明と対応をする
  • 療養期間中は放置せず、定期的な報告を求め、本人や家族とコミュニケーションを取る

事例を目の前にすると、その事例への対応と、あの時こうしておけば良かったという教訓を混同しがちですので、この二つを分けて考えることに注意してみると良いでしょう。

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