すでに療養を開始している事例について、どのようにメソッドを導入していけばよいか、悩むことがあるかもしれません。ややテクニック的な側面が含まれた話にはなりますが、中途導入の手順について解説します。
基本的な考え方
基本的な考え方は二つ。「この事例への対応と今後の教訓は分けて考える」と「軌道修正が早ければ早いほど良い」です。
前者は以前整理していますので、今回は後者について詳しく説明します。
軌道修正のタイミング
例えば、
- 療養を開始して間もない事例であれば、手順と様式を最初から導入する。
- 療養を開始してしばらく経った事例であれば、復帰準備期からスタートする。
- もうすぐ復帰しそうという事例であれば、いったんは復職を認めるものの、次の療養に向けて布石を打つ。
というように、今できるところから少しでも早く軌道修正を行うことがお勧めです。
具体的な軌道修正の方法
復帰基準の説明
いずれのタイミングであっても、復帰基準の説明は欠かせません。というのも、会社側が考える復帰基準と本人や主治医が一般的に考える復帰基準は、乖離があることが多く、同床異夢になりかねないからです。
その場合に「復帰基準を就業規則に盛り込んでいないけど、どうしよう」と思われるかもしれませんが、こうした心配は無用です。
いつもご説明している復帰基準は、労働契約や就業規則で定めていることを明文化しただけであり、何も特別なことは言っていないからです。
むしろ「これまでは曖昧だった復帰基準を、復帰に向けた準備を進めやすいように、具体的にしました」と自信をもって説明しましょう。
手順と様式の導入方法
手順と様式の中でも、「復帰準備完了確認シート」や「主治医意見書」から導入を進めようと思うことが多いかもしれません。ですが、これら単体での使用はお勧めしておりません。
というのもこれらの様式は、療養の手順の中で使うことが、最も効果的だからです。
一方で従来型の対応であっても、頻度は少ないものの面談等で休職者の状況確認をしているケースは一般的です。そのため、面談を本人からの報告に替えるとして、まずは「療養・復帰準備状況報告書」を導入することをお勧めしています。
いったんは復帰を認める場合
途中からの軌道修正の場合、そうはいっても復帰基準の通知が後出しになっていたり、これまでの説明と齟齬があったりする部分があるかもしれません。そのため、ある程度は会社側が妥協して対応する必要があるでしょう。
その場合であっても、必ず守っていただきたいのは、復帰に際して、「通常勤務を前提とすることの確認」と「再療養要件=ストップ要件の設定」です。